南十字星とともに


非売品

●著 者 稲葉 市造
サイズ A5版
ページ 150頁
   ●カバー ソフトカバー
発行日 H19年7月31日

 

 

【著者の言葉】
  空に憧れ、飛行機を愛し、国を憂いて、霞ヶ浦にある予科練に入ったのは昭和15年6月のことであります。今でいうと中学校を卒業したばかりの15歳の時でした。乙13期298名の同窓生がおり、今では生存している者も僅かとなってまいりました。同期の仲間、戦友の横顔が想い出されます。
戦後すでに60余年が過ぎ、平和な世の中となった現在、本当の戦争の悲惨さも風化されつつあります。私の手元に同期の仲間の遺書が残されています。いつかはこれを記録に残さなければと思っていました。遅きながら記憶をひもとき、13期の軌跡を辿りながら、戦争を知らない若者に今日の日本の平和をもたらした原点がここにあることを伝えたい。その思いで筆を執ることを思い立ちました。
戦没の事実確認は13期の諸岡君が防衛省に在職当時、厚生省援護局へ日参しまとめたものを参考にいたしました。同期の戦死公報を必ずしも完璧として求めることは極めて困難なことです。戦闘の様子を客観的に見て考慮し記述いたしました。 
戦争を美化するものではありません。記録を残すことにより、祖国の危急と民族愛護の為に、空むす屍と、翔び去った青年がいたことを知ってほしい、予科練の同窓の碑(いしぶみ)にと著したものです。私は幸いにも生き残り、昭和29年8月自衛隊に入隊いたしました。航空要員として、教育・訓練のためアメリカのサンディエゴ基地に派遣されました。再び航空機に搭乗を夢見て、新しい航空技術を身につけ平和の時代の日本に役立てばと念じて努力してまいりました。海上自衛隊創設の記録として内容を付記いたしました。 
この本を発行するにあたりご協力をいただいた、予科練十三期の仲間、ラバウル基地の938空・水偵隊の戦友、遺族の方々に深く感謝申し上げます。また、ソロモンの地に散った、亡き戦友のご冥福を心よりお祈りいたします。 
85歳となった今日、家族にも恵まれ、畑仕事を楽しみに健康で暮せることを有り難く思っています。 今あることの喜びを皆様に深く感謝申し上げます。

 



この書籍は2009年10月07日(水)に登録されました。

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